EHR(連携型電子カルテ)の国家戦略から始まり、電子看護記録、クリニカルパスをはじめ救急部門ですら患者の流れが改善した実例、バーコードやオーダ時のアラートがミスを減少させた実例、医師が次第に使用に慣れていった経過、電子記録を法的記録とする方法など、数値や具体例が満載の実践的IT導入書を病院現場の医療情報技師がわかりやすく翻訳。
この訳本の原著である"Implementing the Electronic Health Record: Case Studies and Strategies for Success" Edited by Joe Millerを訳し初めて2年以上が経過してしまいました。最初、この本は私ども神戸市立医療センター中央市民病院の医療情報研究チームが、自分たちの勉強のために読み始めました。それは、平成23年開院予定の新病院の医療情報システム構築のためにEHRを勉強しておく必要があったからです。医療情報研究チームは、病院現場で働く医師、薬剤師、看護師、検査技師等から成り、日本医療情報学会認定の医療情報技師の資格を有する約30名で編成されています。新病院医療情報システム構築支援を中心としたITプロジェクトチームとして活動しています。浅学非才が文字通りの私どもですが、原著を読み進めるうちに、米国の医療現場にいる著者らによって書かれたこの本の内容が、私どもの病院現場においても有益で実践的であることに引き込まれていきました。医療現場で必要な情報システム(EHR)の考え方のみならず、それを構築・実践するための組織や人、そしてプロジェクトマネジメントの知識やスキルにも触れてあり、EHR導入のためのコツが随所にちりばめられていました。これは現場で使える実践的な本であるということに気づいたのです。チームの中から有志を募り、翻訳を開始しました。不足の知識を勉強しながらの翻訳でしたので、時間もかかりました。その間に、翻訳メンバーの数名は職場の異動がありましたが、その後も引き続き作業を続けてきました。まだまだ勉強不足の点もありますが、ご訂正・ご教示を頂きながら、そして僅かにでも、病院現場の医療情報技師が翻訳したところに意味を見出していただければ幸いです。HIMSSのVice PresidentであるMs. Fran Perveiler(出版担当)には、HIMSS 2007, 2008の会場でお会いし、ずいぶん応援していただき勇気づけられました。また、同Executive Vice President, Mr. R. Norris Orms, 浜松医大の木村通男教授、HCI 豊田建氏、ほかの皆さんにも精神的な支えを頂きました。また、この訳本の出版を快くお引き受けいただき、最初から最後まで私どもの重い腰を押し上げてくださいました(株)篠原出版新社の井澤泰編集長、同、大川雅也氏に感謝申し上げます。 平成20年11月 医療情報研究チームリーダー 宮原勅治