●はじめに
第1章 国際カードブランドとペイメント
1 2種類の形態がある国際ブランド管理組織
2 国際ブランド決済のしくみ
3 マルチアクアイヤリング
4 シングルアクアイヤリング
5 わが国に多い特有の加盟店契約制度
6 決済カードのデータはどう流れていくのか?
7 世界のカードと日本のカードの支払方法
8 海外でみられる多種類の決済カード
9 多様な支払方法を持つわが国のカード
10 クレジットカードとショッピングクレジット
11 1回払い(マンスリークリア)
12 分割払い(インストールメント=installment plan)
13 さまざまなリボルビング払い1:
定額リボルビング=based onamount minimum payment
14 さまざまなリボルビング払い2:
定率リボルビングと残高スライドリボルビング
15 さまざまなリボルビング払い3:ウイズインとウイズアウト
16 さまざまなリボルビング払い4:前月残と当月残
17 実質年率表記とアドオン表記
18 「あとからリボ」の起源は海外小切手支払い
第2章 国際ブランドの現状と未来
1 SEPA:ユーロ単一決済地域とプロジェクト
2 SEPA圏内で達成されたICカード化
3 SEPA圏内の低価格ICカード決済端末
4 SEPA(欧州)と北米,ICカード化の温度差が産む課題
5 決済の電子化を急ぐSEPA圏内の社会背景
6 再構築が始まった国際ブランドの枠組み
7 SEPA圏内および米国の消費者信用法制1
8 SEPA圏内および米国の消費者信用法制2
9 SEPA圏内および米国の信用情報センター
10 SEPA圏内および米国の上限金利規定
11 Visa, Inc. ① 国際ペイメントの最大手
12 Visa, Inc. ② ショッピングでデビット&プリペイドがクレジットを抜く
13 Visa, Inc. ③ プリペイドの新しいプレイヤー1
14 Visa, Inc. ④ プリペイドの新しいプレイヤー2
15 Visa, Inc. ⑤ プリペイドの新しいスキーム「リワードカード」
16 Visa, Inc. ⑥ プリペイドが福祉行政を効率化する:
Currency of Progressへの取組み
17 Visa, Inc. ⑦ 国際基準の非接触決済“Visa payWave”
18 Visa, Inc. ⑧ Visaヨーロッパ“Vpay”
19 JCB① 日本で唯一の国際ブランド
20 JCB② 世界に広がるT&Eカード
21 JCB③ 顧客志向と「日本品質」
22 JCB④ サードパーティプロセッシング
23 JCB⑤ 加盟店に向けて
24 JCB⑥ 提携カード
25 MasterCard① ペイメントネットワークで世界をリードする
26 MasterCard② 各ブランドについて
27 MasterCard③ グローバルな研究開発体制
28 MasterCard④ 最新技術
29 MasterCard⑤ 日本でのNFC携帯電話の実証実験
30 MasterCard⑥ 英国とカナダでの新展開
31 MasterCard⑦ 国際基準の非接触決済,PayPass
32 MasterCard⑧ シンガポールでNFCデバイスの実証実験
33 銀聯(CUP=China Union Pay)① 巨人の足音が聞こえてきた
34 銀聯(CUP=China Union Pay)② 世界の中の銀聯
35 銀聯(CUP=China Union Pay)③ 高いセキュリティ:
国際ブランドとしての仕様
36 ダイナースクラブ 高い会員属性と加盟店のグレード
37 アメリカンエキスプレス(略称アメックス)
38 Edy① 利用者(消費者・加盟店)目線と技術基盤
39 Edy② 中立で展開する決済ビジネス
40 Edy③ ネット決済展開
41 nanaco 流通業界最初の非接触IC電子マネー
42 Suica・PiTaPa 世界に誇る高速処理
43 PiTaPa 関西民鉄のポストペイ
第3章 スマートフォン決済の行方
1 おサイフケータイ:世界が追いかけるモバイル決済
2 おサイフケータイ決済の特徴
3 おサイフケータイとイノベーション
4 見かけ上の低価格
5 モバイル決済のしくみ
6 普及期を迎えたモバイル決済
7 NFCで広がるモバイル端末の用途
8 モバイル決済の普及予測
9 スマートフォンが変える加盟店端末
10 スマートフォン端末の特徴
11 スマートフォン加盟店への申し込み
12 スマートフォン加盟店の本登録
13 スマートフォンのカードリーダー
14 スマートフォンでカードを決済する1
15 スマートフォンでカードを決済する2
第4章 カードとマーケティング
1 カードビジネスにおけるマーケティング活動
2 カードビジネスにおけるマーケティングミックス
3 消費者はカードを欲しがらない?!
4 カスタマーロイヤリティとカード
5 顧客ロイヤリティが進むとキャッシュレスになる
6 真の競合はどこなのか?
7 垂直差別化と水平差別化(区別化)
8 経済的差別化1
9 経済的差別化2:ポイントによる経済的差別化は可能か
10 社会的差別化
11 構造的差別化
12 カードと情報サービス
13 カードとデータベース
14 正確な顧客データベースの構築と運用1
15 正確な顧客データベースの構築と運用2
16 正確な顧客データベースの構築と運用3
17 正確な顧客データベースの構築と運用4
18 正確な顧客データベースの構築と運用5
19 正確な顧客データベースの構築と運用6
付録 クーポン戦略に活かす決済カードデータベース
●おわりに
コラム
欧州はICカード時代に突入した
築き上げたい自分自身の信用情報
Vpayカードの実際
海外における「日本品質」JCBプラザ
なぜカードに有効期限があるのか?
欧州の特徴ある流通系ペイメントカード
世界に広がるモバイル決済
便利なiPhoneの機種入れ替え
モバイルペイメントの特徴
海外中小商店に広がるモバイルカード端末
2011年夏,パリの青空市場ではカードが使えます
取材旅行とカードとインターネット
教会のお布施もカード払い
世界で広がる汎用ギフトカード
この本は、一般消費者や企業でカードを担当されるにビジネスマンに、カードマーケティング、そして決済カード関する基本知識を得ていただくために書かれています。
毎年新たに製造されるポイントカードは3億数千万枚にものぼり、クレジットカードも3億2千万枚が発行されています。そして、大手企業の発行するポイントやマイレージは金額に換算すると年間1兆円に達します。つまり、ポイントの発行対象となる消費総額は、付与ポイントが1%なら100兆円にも達する計算です。民間最終消費支出は300兆円であることから、消費行動の約3分の1に何らかのカードが登場していることになります。
世界一厳しいといわれる消費者と法制度、そして、高度な顧客対応力を持つサービス業が構成するわが国の市場は、世界でもっとも洗練されているカードマーケティング環境といっても過言ではありません。
これからの国際間競争はますます熾烈になるでしょう。我が国が世界市場で勝ち残っていくためには、技術力・生産設備・各種法制度などのファンダメンタルズが洗練された状態であることが必要ですが。あわせて、国内産業全体が企業の投資牽引型から生活者による消費促進型へ、そして資源消費型からエコロジー型へ、量から質重視へさまざまな経済環境モデルの転換を図っていく必要があり、カードビジネスもその例外ではありません。
ここ数十年、さまざまな企業や団体が、自社のマーケティング戦略の重要なツールとしてカードビジネスに参入をしてきました。
スモールスタートから大きな会員組織に成長を遂げたカードもありますが、著名な大企業や外資が膨大なコストを掛け、一気に参入しても、あっけなく市場から撤退してしまう事例も後を絶ちません。また、子会社としてスタートしたカードビジネスが、親会社の破綻後にもかかわらず脈々と生き続けている例も多々あります。
それはなぜでしょうか?
じつは、カードビジネスは「装置産業」といわれます。つまり、カードはコンピューターシステムへのアクセスキーでしかないのです。
カードの各種サービス機能は、通信回線上でつながったコンピュータシステムとプログラムによって、消費者の生活行動と密接に接続されているのです。そして、消費行動には「決済」が必ず伴います。
一見、プラスティックからできた「板」にしかすぎないカードは、表面的にはデザインでしか差別化できません。しかし、そのサービス機能の差や事業としての永続性は、背後にある堅牢な通信ネットワークと、高度なコンピュータシステムによって裏付けられおり、決済機能の有無など、その能力差は歴然としています。
しかし、外部からシステムの善し悪し判別するのは困難です。
各雑誌では毎年ポイントカードやクレジットカードの特集があり、消費者に対して重要な情報を提供しています。しかし、永続性の視点からポイントサービスから見たとき、特典の改廃どころか該当のカードプログラム自体が市場から姿を消してしまう事例も散見されます。
このことは、カードビジネスの事業構築の際に金融決済機能を考慮しなかったことと、サービス機能を実現するコンピュータシステムの設計が、市場に適合していなかったことが理由と見ていいでしょう。
つまり、企業のマーケティング担当者や経営企画の担当者は、表面的なポイント付与合戦に陥ることなく、長期企業戦略の柱となる「決済のしくみ」をシステム担当者とともに設計、構築する必要があるのです。
一方、消費者の視点から見たとき、ポイントの蓄積には一定の時間が必要であり、氾濫するクレジットカードから数枚のメインカードを選択し、クレジットヒストリーを積み重ねていくためにも、カードの本質を見極める必要があります。
本書では、より高度なマーケティング機能を搭載するために、金融決済機能の重要性を国際的な情報も加えて解説しています。具体的には自社のポイントプログラムなどのサービス機能に加え、デビット、プリペイド、クレジットなど、金融決済機能付加の必要性を説いています。
昨今の金融決済はボーダレス化が進んでいます。特に決済カードはVisa MasterCardを始めクレジットからデビット、プリペイドに比重が移っています。これは中国”銀聯”カードも例外ではありません。
1980年代、わが国はICカードの開発などで世界をリードしていました。また、2000年以降も非接触決済で先行していました。いわばカード先進国で「あった」といえるでしょう。
しかし、欧州ではすでに100%ICカード化が達成され、Visaにおいてはデビット、プリペイドの取り扱いがクレジットカードを凌駕しています。さらにわが国のお家芸ともいえる「おサイフケータイ」も姿を変えて世界中でスマートフォンに搭載され始めました。
筆者は技術力や制度などのファンダメンタルズが高水準であることが必要であると述べましたが、ガラパゴスであってはならないとも感じています。
2010年前後、わが国では貸金業法や割賦販売法が改正され、新たに資金決済法が施行されましたが、国際的にも金融関連法の整備の時期を迎えています。
米国のクレジットカード規制改革法を始め、欧州中央銀行による金融決済指令などが世界の決済に影響を与えてくるでしょう。
本書の執筆にあたり、海外からの情報収集と現地での調査に力を入れました。ここ数十年、わが国のカードビジネスは独自の発展を遂げてきましたが、これからは国際的視点を加えてカードビジネスを展開する必要があるでしょう。